学生向けに、特許明細書の読み方について講義をすることがあります。
そんなとき、「化学系の明細書は、実施例にレシピ集が書いてあると考えるとよいですよ」と伝えています。
引き続き、サントリーストロングゼロの特許明細書から例をひろってみます。
(サントリーストロングゼロ 特許情報)
特許第4892348号
発明の名称:「アルコール浸漬物またはそれを用いた食品もしくは飲料およびその製造方法」
【実施例1】
<レモン凍結粉砕浸漬酒の製造>
簡単に言うと、レモン酒のつくりかた、ですね。
中身は・・・
- 生のレモン果実を後述する凍結乾燥機に投入できるように4つ切りに分割し、
- −196℃の液体窒素を用いて凍結した。
- これを凍結粉砕機に投入し、凍結したまま微粉砕することにより・・・白いさらさらした粉末状の凍結微粉砕物を得た。・・・
- 次に、凍結微粉砕物を40%原料用アルコールに2日間浸漬した(100g/L)。
- 得られた浸漬液を珪藻土を用いてろ過して固形分を除き、
- アルコール40%のレモン凍結微粉砕浸漬酒を得た。
つまり、
①生のレモン果実を4つに切った
②凍らせた
③凍ったまま砕いて粉にした
④40度のアルコールに2日間漬けた
⑤フィルタでこしてレモンの実、皮などを除くことにより、
40度のレモン酒を得た。
という流れになっています。
実施例は、企業で実施する場合が多いので、大規模な設備や分析装置を使用することがよくあります。
そのため、難解なように見えますが、レシピと考えればわかりやすいと思います。