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[017] サントリー ストロングゼロ 特許請求の範囲を比較 「wherein」

前回の続きです。


比較しているのは、以下の2つの特許明細書。

 

(日本語の特許明細書)

特許第4892348号

発明の名称:「アルコール浸漬物またはそれを用いた食品もしくは飲料およびその製造方法」

 

 

 

(英語の特許明細書)ヨーロッパの特許です

EP1792974 B

Title of the Invention:「Alcohol-dipped material, food or drink using the same and method of producing the same」

 

 

前回は、発明の名称を比較しましたが、今回は、特許請求の範囲(クレームと呼ぶこともある)を比較してみます。


ちなみに、特許請求の範囲は、日本文と英文では少し内容が異なっている場合がよくあります。
そもそも各国で欲しい権利を取得するためのものなので、違って当たり前ですし、それぞれ少しずつ制度が違うのもあって、参考程度に比較してみると良いと思います。

請求項1を比べてみます。

(日本語)

【請求項1】

(a)原料果実および/または野菜の一種以上を凍結し;

(b)凍結物を平均粒径が1μm〜100μmとなるよう微粉砕し;

(c)微粉砕物をそのまままたは解凍してペースト状にしてから、15%〜100%のアルコールに浸漬して浸漬液を得て;そして

(d)浸漬液を添加する

工程を含む、食品または飲料の製造方法。

(英語)

 

A method of producing a food or drink, wherein the method comprises the following steps:

(a) freezing one or more fruit(s) and/or vegetable(s) employed as a raw material to provide frozen matter;

(b) microgrinding the frozen matter until an average grain size of the frozen matter is 1 µm to 200 µm to provide microground matter; and

(c) dipping the microground matter in an alcohol having a concentration at which one or more components of the raw material can be extracted to provide an alcohol-dipped material, wherein the microground matter is dipped in the alcohol as it is, or the microground matter is thawed to give a paste which is then dipped; wherein the alcohol having a concentration at which one or more components of the raw material can be extracted is a 15% to 100% alcohol;

(d) providing a food or drink from the alcohol-dipped material.

特許請求の範囲は、わけわからん!と言われることが多いのですが、全体として1つの名詞になっていると考えると理解できます。

「どういう権利が欲しいの?」と聞かれ、「○○というもの。」と答えていると考えるとイメージがしやすいのではないかと。

上の例では、日本語では「食品または飲料の製造方法」、英語では「A method of producing a food or drink」について権利が欲しいということであり、それ以外の部分は、「どんなものか」という詳細を示しており、この言葉にかかる修飾です。

日本語と英語で修飾部分の来る場所が逆(日本語では前、英語では後ろ)になっているのは、単純に言語の特性によるものです。

基本構造は、日本語バージョンも英語バージョンも「(a)工程と(b)工程と(c)工程と(d)工程を含む、製造方法。」となっており、4つの工程があるという点では違いはなさそうです。

英文の1行目にある表現をみてみます。

A method of producing a food or drink, wherein the method comprises the following steps:

whereinという言葉も、特許明細書では非常に良く出てくるのですが、あまりなじみはないかもしれません。

Cambridge Advanced Learner's Dictionary には、
wherein = in which, or in which part と書かれています。

whereinの後には、発明の内容 「食品または飲料の製造方法」を更に細かく説明する文章が続きます。

食品または飲料の製造方法なんだけどね、この方法はね、○○という特徴があってね、・・・(延々続く)

みたいな感じですね。
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